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特に区画が引かれてるでもない緑地区の境堺いには、「ここから先MIDORI地区」と吹き出しで喋る、海老名みどりの顔が大きくプリントされた看板が立っていた。意味わかんねーよ。

腰に携えた携帯がブルッと振るえだしたので、中身を確認してみると「一昨日はありがとうございました☆たのしかったですね♪また遊びましょうミ☆」というメール。俺は全然たのしくなかったよ、死にやがれこのクソ尼と、心の中で思いながら、東橋の「三枝さんこっちです」という声に従い、だだっ広かった4車線の道路から、舗装もままならない二車線の緑地区の道路へと自転車を進めた。


東橋の後につづき、しばらく自転車を進めたのち、前方から真っ赤な警備員姿の爺が「おーい、こっちこっち」と片手を大袈裟に振る姿が見え、ガンッという音と共に、爺を自転車で轢いたり撥ねたりしてみたんだけど。爺は別段負傷を負った訳でもなく、「こっちです、こっち」といいながら、ひたすら俺と東橋を現場へと案内した。


案内された現場ってのは、二車線道路から横に抜けた、車一台も通り抜けられないような細い私道の先の 古臭い住宅の密集した住宅街。

「とりあえずここで」という東橋の指示に従って、自転車を電柱の脇に止め、二人でとぼとぼと赤い爺の後についてきながら一軒の民家の中へと向かう、民家の中に入ってみると、家具はメチャメチャに破壊されてるは壁にはでかい穴が空いてるわで、とてもまともに生活なんて出来る状態じゃない。

「ひでぇな」とつぶやく俺の横で東橋が「被害者は?」と赤い爺に尋ねている


東橋は肩から携えた鞄からカメラを取り出すと、にやにやしながらしばらくその惨状を撮影してから、俺も一緒に赤い爺に案内されるまま次の民家へと向かった。

そんな感じで2軒3軒と同じ様に滅茶苦茶に破壊された民家を梯子しながら。

「で、シーサーは?」

って尋ねる俺に、赤い爺は「逃げました」って一言返しやがった。

そしたら東橋が「帰りましょうか」っつうんで、俺もそれ従い緑地区を後にした。