エクセレントエクスカリバー(序章)

己の、存在していても何の価値も無いという事実と真実と、それとは関係の無い何かしらを悲観して、人目もはばからずに「うぁぁあぁあぁあぁああぁああんんんんん!!!!!!!」などと、地面にうっ伏しながら泣き叫ぶ私の背中を、年齢5歳だか6歳だか7歳だか8歳だか10歳だか11歳だかの幼女が、ゲシゲシと何度も蹴りつけている。力いっぱい、踏みつけるように、何度も何度も蹴り付けて、照り付けている。

将来は随分と美人になりそうな黒髪の幼女だが、赤と黒の横じまの洋服などを着、デニム地のオーバーオールのようなサロペットジーンズのようなスカートのようなものを履いており。傍らにはクマちゃんのぬいぐるみを抱えている。

幼女が、靴の底面を、私目掛け何度も何度も突き出す度、クマちゃんのぬいぐるみの腕もぐらんぐらんと揺れていた。


それでも私は泣きつづけ、それでも幼女は蹴りつづけ、やがて我らのまわりには黒猫の大群が集まってきていた。5匹、6匹、10匹、8匹、15匹、20、35匹ぐらいの黒猫の大群。大軍。黒猫群軍と私は其れを呼ぶことにした。

その黒猫群軍が私のまわりをぐるぐるとくるくるとゆらゆらとにゃーにゃーと廻り周り廻るのちに、私は巨大な樹木へと成長しましたとさ。


地面から這い現れた樹の根の正体は今でも私にはわかりませんが、これが、私が世界樹とかユグドラシルとかと呼ばれるようになった様なゆえんであり。

あの忌まわしきエクセレントエクスカリバーなどという剣がこの世に舞い降りてから消滅するまでの数十秒間。