ニットの王子様

私は、ライフジャーナリストという職をしている。ライフジャーナリストとは、ヒトの人生。人生を、追う、ドキュメントタッチで追う、ジャーナリスト。記者ということだ。

私は、今まで色々な人々の人生に密着し、取材をしてきた。今日は、その中の一人、骨川坂敏クンの人生について、話そうと思う。


骨川坂敏。21才。香川県の某私立高校を卒業し、今は東京の100円ショップで働いている。月収は、月19万。


Q.何故、100円ショップに就職することに?

坂敏:ええ、特に理由は無いんですけど、偶々というか・・・


彼は、僕の問いにそう答えてくれた。就職の経緯は特に無し。まさに現代っ子だなと、カギっ子だなと僕は思った。だが、そんな彼も、今では100円ショップの店長になるのが夢だと言う。


Q.仕事で大変な所は?

坂敏:そうですね。接客ですかね・・・ 元々、何でも100円で買いたいと思うような客らですから。

腹に据えかねていることでもあるのだろうか、彼の発言は少々過激に思えた。


私が、「でも、100円ショップなんてのは、気ままに商品を見たり選んだりできるのだから、そんなに接客を求められることは無いのでは?」と尋ねると、彼は、突然 眼玉をギョロリとさせ「100円ショップはな、この包丁も100円だし。この陶器だって100円なんだよ。今の時代はな、100円で人を殺せるんだよ。」と、僕に凄んでみせたのだった。


つづく