#115.24 -TWENTY FOUR -
機動聖戦士メガロイドガイザードZX 第115話
監督:雪村京子
脚本 リュウ
絵コンテ 工藤あさり



私の名前は、二階堂天使(本名)

以前、私は真・ミカエレラ天恵教というありがたい教団を設立していたのですが、にっくきメガロイドガイザードZXというものの手によって、信者たちの洗脳は解かれ、教団も解体され・・・

お布施を貯めて買った真っ赤なフェラーリも中古車ディーラーに買い叩かれ・・・、いまや四畳半のアパートでカップやきそばを食べながら生活する様な日々へとまで落ちぶれていたのでした・・・

しかし、そんな私も遂に、オーディションに次ぐオーディションの難関を乗り越え、国民的アイドルとしてのデビューが決まり、そのお披露目番組として生放送の大型チャリティ番組の司会に大抜擢されたのです。



00:00/24 番組記者会見


二階堂天使「どうもみなさんこんばんわ、二階堂天使です。本名です。まず、これが私の戸籍謄本のコピーです。ね、本当に本名でしょ」



>> 機動聖戦士メガロイドガイザードZX

>> 第115話「24 -TWENTY FOUR -」




1:00/24 番組オープニング


二階堂天使「両国国技館よりお送りする今回の24時間チャリティーアワー。今回メインパーソナリティを勤めさせていただきます、国民的アイドル代表の二階堂天使です。本名です。えっと、これが戸籍謄本のコピーです。

それでですね、この番組は、恵まれない子供たちに、車イスや車イス、あと車イスとか、棒アイスとかイクラ丼とか、 BARに置いてあるピンボールの機械とかを送るために、募金をうけつけています。あとマラソンもします。駅伝。あと、短距離走も。棒高跳び」



1:30/24 チャリティマラソン途中経過


アナウンサー「えー、まことに残念ですが。今回の100キロマラソン・・・4キロメートル地点で、ランナーの笹本秀則さんがリタイアということで、国技館にお返しします。」


二階堂天使「いやあ、まことに残念でしたね。足が痛いならしかたないけど」


どいつもこいつも・・・ ナメやがって・・・



2:00/24 チャリティチャレンジ


二階堂天使「あとですね、今回の挑戦はですね、95歳のおじいちゃんが孫のためにドーバー海峡を泳いで横断するという感動のチャレンジです」


アナウンサー「えー、まことに残念ですが、今回のチャリティチャレンジ・・・95歳のおじいちゃんが海の中に沈んでいったので、国技館にお返しします。」


二階堂天使「いやあ、まことに残念ですね。まあ、浮かんでこないならしかたない」


どいつもこいつも・・・ ナメやがって・・・



3:00/24 チャリティドラマ


二階堂天使「ええ、つぎはチャリティドラマ『愛の日々〜サニーが笑った〜』です。車椅子で目の見えない少女サユリが、アメリカのナカトミビルを占拠したテロリスト相手に単身対決を挑む感動の物語です。2は空港です。」


サユリ「これで終わりだー メリークリスマス!」

犯人「うわー ビルの屋上から落ちる」

黒人警官「鉄砲がうてたー」






二階堂天使「いやあ、ほんと感動のものがたりでしたね・・・涙でちょっと前がみれません。あと眠くて。」



5:00/24 チャリティゲスト登場


二階堂天使「ええ、今スタジオに、元プロボクサーの渡辺二郎さん、ドラマこづれ狼の元大五郎役・西川和孝さん、元プロレスラー・剛竜馬さんが来てくれましたー。あ!その後ろにいるのは横山ノック師匠です!」


この後、ノック師匠のタコ踊りでスタジオは大いにもりあがる



スタッフ「天使さん!国技館の外に、真・ミカエレラ天恵教 元・信者被害者の会という人たちがあつまってます!」

二階堂天使「うるせぇ!そんなやつら、火炎放射器で追い返せばいいんだよ!」


どいつもこいつも・・・ ナメやがって・・・



11:00/24 応援FAX紹介


二階堂天使「さあ、すでに早朝 朝5時になりました。これから後半戦もがんばっていきますよ!睡眠もばっちりとったので元気満タンです!では、さっそく応援のFAXが舞い届いていますので、読んでみましょう!

ええっと・・・『ばかやろう!こんなくそいんちき番組やめてしまえ!死ね』とのことです。このFAXは、太田区のササキヨウジさんFAX番号03−241−612が送ってくれました。あとでスタッフが詳しい住所とか仕事先も調べて番組内で発表します。あと家族構成も。」



12:00/24 訂正とお詫び


二階堂天使「ええ、昨日の夜に放送した『感動ドキュメント・口のきけない少女がしゃべった!』ですが、あれはやらせでした。元々しゃべれる少女でした。あの少女役の子役が以前ドラマにでていたというご指摘を受けたので白状します。

まあ、潔くて、視聴者のみなさんは逆に好感が持てたと思います。募金はまだまだ受付中です。」



12:30/24 チャリティゲスト登場(2)


二階堂天使「ええ、今、国技館に元・ピンクレディーのMEEさん、梅宮辰夫さん、プリンセステンコーさんがやってきてくれました!先ほどとはうって変わって、被害者側の皆さんがきてくれました!」


この後、MEEさんの銀行から1000万引き落とされてたネタで会場は大盛り上がり



14:00/24 中間視聴率


スタッフ「天使さん!昨日の平均視聴率*(こめじるし)ですよ!募金も2000円ぐらいしかあつまってません!」

二階堂天使「米印だと!0%以下ってことじゃねーか!」


どいつもこいつも・・・ ナメやがって・・・



15:00/24 愛の募金活動


二階堂天使「こうなったら仕方ない、カメラを持って銀行とかに乗り込もう」

そういって私は、スタッフたちと一緒につばめ銀行西馬込支店へとのりこんだのだった


二階堂天使「どうもこんにちは!感動を運ぶ24時間チャリティ番組です!募金くれ!」


支店長「ああ・・・募金をお渡ししたいんですが、ここにあるのは預金者たちのお金なので、だめなんですよ」


二階堂天使「うるせぇばかやろう!金をだせばいいんだよ!ださないと新幹線を爆破するぞ!」


しびれをきらした私は、懐に隠し持っていた拳銃を支店長へと突きつけ1億円の募金をゲットしたのだった



21:00/24 レザボア・ドッグス


ちょうどそれは24件目の銀行を襲撃していたときだった


スタッフ「天使さん!山中(AD)が撃たれました!」


二階堂天使「ちきしょう!どういうことだ!次に襲う銀行が警察にリークされていたとしか思えん!」

私はそう吐き捨てながらロケバスのドアを開け放った、腹部から血をだらだらと流すADをディレクターが車の中へとひきずりあげる



二階堂天使「ドライバー!はやくだせ!次は、つばめ銀行豊中島支店だ!」


キュンッ、キュン、キュキュンッ


砂煙をあげて現場から逃げ出すロケバスのボディを、後方から現れた警官隊の無数の弾丸が狙い撃つ

銃弾を受け 小さな火花を上げながらも、ロケバスは急いでその場を後にした



スタッフ「天使さん!防弾仕様のロケ車できて正解でしたね!」

二階堂天使「おう!あたぼうよ!」



21:14/24 つばめ銀行豊中島支店


スタッフ「天使さん!大変です!銀行の前に、すでに警察の機動隊が大勢待機しています!」

二階堂天使「な、なんだと!やはりか!このなかに裏切りものがいる!!」


ドーン


私のこの一言により、ロケバスの中にいる私を除くスタッフ5人の顔色が一斉に曇る



二階堂天使「まあ、その話はあとだ!ドライバーこのままロケバスごと銀行の入り口に突っ込め!」

スタッフ「天使さん!無茶だ!銀行の前には機動隊が!」


二階堂天使「うるせぇ!そんなもんひき殺してやればいいんだよ!ごー!!」


私のその掛け声と共に、ロケバスは銀行の入り口に固まる機動隊めがけ急発進した



ズバーン



轟音と共に空中へと舞い散る機動隊の手足や頭、ロケバスはそのまま つばめ銀行豊中島支店のシャッターを突き破り、行内へと突入した



スタッフ「あ!機動隊だとおもったら!機動隊の絵を描いたベニヤの板だった!」

二階堂天使「どうせそんなこったろうとおもったぜ!さあ、お前ら、はやくロケバスからおりてお宝を頂戴しな!」


スタッフ「へい!わかりやした親分」



21:20/24 特別捜査本部


刑事「署長!24時間チャリティ番組のスタッフとして潜り込ませていた公安部の刑事から連絡がきました!どうやらベニヤ板作戦失敗した模様です!」

入り口に【24時間生放送チャリティ強盗団特別捜査本部】と大きな戒名がはりつけられた会議室の中、息を切らしながら現れた刑事は、日本警察の署長にそう伝えたのだった!


署長「くっそう!西園寺を呼べ!こうなったら特殊包囲部隊を出動させる!両国国技館を封鎖せよ!」



22:00/24 ロケ企画終了


同じような手口で合計30件近い銀行を襲撃した私たちは、そのお金を持ってスタジオである両国国技館へと戻ってきたのだった。

スタジオの中央には、どっさりと積まれた札束の山


二階堂天使「なんとか全銀行の襲撃は終わった・・・」

スタッフ「よかったですね!天使さん!おかげで今回の募金額が番組至上、最高の金額に到達しました!」


二階堂天使「だまれ!そんなことは問題じゃねぇ!俺がいいたいのは、この24時間チャリティ番組のスタッフの中に裏切り者がいたってことだよ!愛の為に集まったスタッフのはずなのに!」

スタッフ「そ、それは!」


スタジオの札束を囲むスタッフ5人の顔色が一声に曇る


山中「み、みてくれ・・・天使さん、俺は腹を撃たれてるんだ・・・、ほら血もこんなに・・・ 俺が裏切りもののわけわねぇ・・」

吉沢「それはわからないぜ天使さん!聞いた話によると山中はこの番組の参加に乗り気じゃなかったらしい!」

タイムキーパーの吉沢がそういった


スタッフ「ばかやろう!よさないか仲間同士で!」

ディレクターがそれを制す



二階堂天使「いや、もう誰が裏切り者かは大体見当がついているんだ・・・」

そう言いながら私は、懐の拳銃を抜き放ち、スタッフ5人に向けて突き付けた



二階堂天使「つばめ銀行豊中島支店前に配置された機動隊のベニヤ・・・」



そう言いながら私は、スタッフひとりひとりの顔色を伺いながら、額に合わせた照準を順々に動かして行く



二階堂天使「そして、最後、この両国国技館に戻ってくるときだけに限って、なぜ警察の妨害にあわなかったのか・・・」



スタッフたちが冷や汗をたらしながら、ゴクリと唾を飲む音が聞こえる



二階堂天使「それは!最後に襲う銀行の情報だけは、中継先からスタジオのブースへ嘘の情報を流したからだ!」


バキューン!



そう言いながら私はロケスタッフの5人から銃口を外し、カメラの後ろで腕を組んでいたハチマキ姿の男へと弾丸を撃ち込んだのだった


大道具係の男「ぐあ!」


二階堂天使「このスタジオに残っていて、尚且つ、あんな上手な偽機動隊のベニヤ板をつくれるのは、大道具の入江!お前だけだ!」


ザーン


入江「くっそう・・・公安部の刑事として真・ミカエレラ時代からお前を内偵していたのに・・・こんなところで死ぬとは・・・」


二階堂天使「安心しな、急所ははずしてあるぜ。誰か、そいつとADの山中を病院までつれてってやんな。」



23:00/24 チャリティゲスト登場(3)


血と硝煙の臭いがたちこめる そのスタジオの中へ、ひとりの男が現れる・・・


僕「ああ、こんにちわ!僕はメガロイドガイザードZXのパイロットです。いつも地球をすくってますが、今日は100万円募金しにきました。」


二階堂天使「あ!きさまはメガロイドガイザードZXのパイロット!よくもノコノコときやがったな!」


メガロイドガイザードZXのパイロットを目にしたそのとき、私の中で下火だったなにかがメラメラと燃え上がってきたのだった・・・



スタッフ「あ!二階堂天使さん!募金をかばんにつめて、どこへ行く気ですか!」

二階堂天使「ばかやろう!俺にはやらなければいけないことがあるんだよ!」


そういって私は、スタジオに積まれた募金を持ち逃げし、両国国技館地下の秘密ラボへと走った。

そう、つくりかけだった最強のロボを猛スピード完成させる為に・・・



23:30/24 両国国技館を封鎖せよ!


両国国技館を取り囲む数機のヘリと数台の装甲車、それに数十台のパトカー


一台の装甲車から降りたライトグレーの背広を着た男を筆頭に、アサルトライフルを携えた 全身黒づくめの戦闘服に身を包んだ男たち数十名が 一斉に立ち並び、国技館の入り口を包囲する


西園寺ハヤト「われわれは、日本警察特殊包囲部隊【十二神将】のものたちだー、既に両国国技館一帯は封鎖済みだ!逃げることはできないぞ!篭城している24時間チャリティ番組のスタッフは、ただちにこちらへと投降しろ!」



23:54/24 そして、大フィナーレへ


西園寺ハヤト「いつまで待ってても埒があかない!署長から射殺許可も貰った!全員突入だ!」

西園寺ハヤトが片手を挙げながら、そう一声を下すと、その両脇をすり抜け、特殊部隊員たちが一斉に国技館の中へと突入しようする!しかし、そのとき



ドカーン!



二階堂天使「わっはっは、メガロイドガイザードZXよ!これがわたしの渾身の一撃。天上天下滅墜腕ブラックミカリンだー!」




天上天下滅墜腕 ブラックミカリン 体長150メートル 体重150トン
攻撃S 防御B はやさA and+α 必殺技:墜天砲



両国国技館の屋根を突き破り、その漆黒のボディを数十台のパトランプに紅く照らされた巨大なロボ、ブラックミカリンが姿を現したのだった!



アナウンサー「おおっと!感動です、4キロメートル地点でリタイアしたはずのチャリティ100キロマラソンのランナーの笹本秀則さんが、いま、痛い足をかばうようにして、スクーターで両国国技館のゴールテープを切ろうとしています!!感動です!!」

そして、なんと、そんなさなか、奇跡的にもチャリティマラソンのランナーが、ゴールである国技館へと、まさに今、その姿を現したのだった



二階堂天使「感動だ!おい!スタッフきこえるか!さあ、いまから、あの唄をみんなで大合唱だ!」


スタッフ「はい!きこえてます!すごい感動だ!おい!あの唄を流せ!みんなで合唱だ!」


僕「なんて感動なんだ!ぼくも一緒にあの唄を合唱しよう!」

西園寺ハヤト「まさにそのとおりだ!突入も封鎖もやめて、みんなで合唱するぞ!」

隊員「はい!合唱しましょう!」


そういいながら、僕も特殊部隊とか警察のひとたち全員も、みんなで大合唱



署長「うぅ・・・なんて、感動的な物語なんだ・・・ さ、ぐ、らぁー ふぶぅー ぎぃーのほぉー えっぐ… サラ・・・」

捜査本部の刑事たちもTVをみながら大合唱する中、日本警察の署長も涙を流してブラウン管を見詰め、そして、その唄を口ずさんでいた・・・


感動によって、今、日本全国がひとつになったのだ!




24:00/24 この番組の提供は・・・


この番組で集まった募金は、全額、めぐまれない子供たちに伊藤園のお〜いお茶を送るお金として使わせていただきました。募金してくれた人、来年もたのむよ!


この番組は、伊藤園のお〜いお茶の提供でお送りいたしました。






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