教官「はい、そこ左」
僕「はい」
教官「はい、目視忘れてる。」
僕「はい」
教官「そこ、一時停止」
僕「はい」
教官「はい、いいよ」
僕「はい」
教官「はーい、まっすぐ」
僕「はい」
ガシャンッ
いまは朝7時。団地と団地に挟まれたまっすぐな道路。
ぼくの運転する車の対向車線で、赤いタクシーがすれ違いざまにガードレールへとげきとつしていた。
ガシャンッ
教官「あ」
僕「あ」
そして、つぎの瞬間、それに目をうばわれていたぼくの車もガードレールへとげきとつしていた。
>>機動聖戦士メガロイドガイザードZX
>> 第47話「黒いコートを着たあずき色のYシャツの男」
この番組は、伊藤園のお~いお茶の提供でお送りしています。
薄緑色の棒状のガードレールへと斜めに切り込んだ赤いタクシーの後部座席より、黒いコートを着たあずき色のYシャツのおとこが手動でドアを開けて出てきた。
赤いタクシーのドアを手動で開けて出てきた黒いコートを着たあずき色のYシャツのおとこの両手にはめられた黒い手袋の右手には、1丁の拳銃が握られていた。
目があってしまった。
<< 15秒前
>> 2nd VIEW
タクシー運転手「お客さんご出勤っておっしゃられてましたけど、やっぱりタクシー通勤の場合も交通費は支給されるんですかねー」
前方をみながらそう尋ねるタクシー運転手に対し、後部座席に座る黒いコートを着たあずき色のYシャツの男は、無言のまま拳銃をつきつけ、その引き金を引いた。
パンッ
弾丸は、目の前のアクリル板を貫通し、運転手の後頭部を撃ちぬいた。
そして、フロントガラスに大量の血液をまきちらした運転手は、そのままハンドルへと倒れこみ、車体をガードレールへと激突させる。
<< 15分前
>> 3rd VIEW
一切の無駄を省いた簡素な鉄色の廊下
白い帽子と緑色のブレザーを着たタクシー運転手は、手にせっけいずをもって廊下をあるいていた。
タクシー運転手「フッフッフ・・・とうとう、すごい厳重な研究所の金庫から、日本を沈没させる爆弾のせっけいずを手に入れたぞ。わたしは実は、すご腕のスパイだからな。これをもって帰って褒められるのだ。」
おおきな研究所の前に停車させていた赤いタクシーに乗り込むと、運転手はサイドボードにせっけいずをしまい、車を発進させた。
前方で片手をあげる 黒いコートを着たあずき色のYシャツの男がみえる。
<< 15時間前
>> 4th VIEW
俺の名前は殺し屋サトシ。ちょう一流の殺し屋だ。探偵だ。いや、殺し屋だ。むしろ殺し屋だ。サーカス団長だ。
きょうも俺は、殺し屋サトシのホームページに設置した、殺しの依頼掲示板を自宅のパソコンから目を通す。
殺し屋サトシ「おお、殺しの依頼の書き込みがあるぜ。」
HN:いちごっぴ | タイトル:殺してほしい人がいます |
はじめまして。こんばんわ。わたしはいちごっぴといいます。
今日は殺し屋サトシさんに殺しのおねがいがあって書き込みします。
殺してほしいのは、東京の犀タクシーに勤務する運転手のひとです。
名前は、たしか尾畑宗助というひとです。おとこです。
この人は悪い人で、わたしのお父さんが死んだので、おねがいします。
100万円はらいます。 |
HN:殺し屋サトシ | タイトル:Re:殺してほしい人がいます |
はじめまして、こんばんは(^^)
殺し屋サトシです。
依頼了解しました。100万円で殺します。
つばめ銀行 西馬込支店の普通口座0266031に、100万円を振り込んでください。
その後、みつけて殺します(^^) |
俺は返信をおえ、あずき色のYシャツの上に黒いコートを羽織ると、わすれずに鉄砲も持って自宅を後にした。
>> 15時間15分15秒後
>> Re:VIEW 1st
ぼくと目のあった黒いコートを着たあずき色の男は、そのまま車道を歩いてどっかへいってしまった。
その後、警察の事情聴取とかでたいへんだったのはいうまでもない。
1時間半後、気を取り直して車を再発進させようとするぼくに、教官がいった。
教官「阿波根君。次回、路上もう1回ね。」
僕「ハンコ押してくれよ!」
ぼくは館ひろしぐらいがっかりした。
つづく
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